夜泣き

 夜泣きの経験の薄い人がいる。

幼少期というよりももっと小さな小さな頃に「いい子」だった人がそうだと思う。

 

すぐにわかる。環境や優しい性格や。特に、神経質な程に人へ気を遣ってくれる人。

そういったものは、生まれた日が暑かったのか寒かったのか程度の、些細な偶然による差異かもしれない(爬虫類は温度で雌雄が決まるのだから、人間の性格だってそんなものであってもいい。

子供の時に得られなかったものは今頃になってくっきりと反照するのだと思う。

 

安心が得られるようになったらいいと思う。得るというより、きちんと身を委ねられるように。怖いと声をあげたら駆けつけてもらえる、そういった当然の権利をもった夜が訪れてほしいと思う。受け入れてほしい、受け入れられてほしい。圧し殺した声で泣かせないために。